鉄火巻キのメモ書き

ただのメモ代わり

今年使用した射出機構について

当初は月一で何か書こうと思っていたんですが、面倒になってなにもしないうちに年を越しそうになっていたのでとりあえず何か書いておくかと思った次第。

特にネタも考えていなかったため今年の射出機構について軽く書きます。

特に目新しいものとか参考になるようなものは無いと思います(断言) まあ今後こんなバカ出力でものを飛ばす機会なんて一生訪れないと思うので良い経験?でした。

射出について

射出機構の選択肢は色々ありますし、飛ばす対象やルールによっても変わるかと思います。なんなら来年の学ロボ2022もボールを飛ばす競技ですね。

今年2021ではアローという細長い訳分からん形のものを最小口径160mmかつ可動なポットに入れるというまあまあしんどい競技でした。 我々はアローを射出する機構として俗にモータ直動と呼ばれる機構を採用しました。 これはまっすぐなパイプにラックを張り付けるなどしてモータの回転を直線運動に変えて打ち出すものです。

初期の試作段階では回転投げや、定荷重バネ砲なども作りましたが採用されませんでした。 理由としてはこれらの装填や射出モーション自体が長い為....というのは確か後付けの理由だった気がします。

もはや一年近く経ってしまって記憶がおぼろげですがとりあえず直動が上手くいったから採用したと思われます。 他の機構についてはあんまり記憶に無いですね....現地でタイミングベルトで直動射出機構を作ってる大学を見たときは素直に「頭いいな~~~」って感動してました。

今年のモータ直動

一般論とかは全く知らんので今年行ったことについてのみ話します。 他の射出機構との比較とか書こうと思ったけど物理なんもわからんしめんどくさいので止めた。

使った機構はマブチの775を二つ使い、その軸にピニオンを付けてラックを二面に貼り付けたパイプを挟み込むようにされています。過去のロボコンで見かけたものたちをガッツリ参考にさせていただきました。

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モータ直動の機構概略図

制御としては見たまんまモータでパイプを加速させて、パイプ上に乗せたものを慣性で飛ばすことになります。 モータ直動でネックになるのは

  • ブレ―キ
  • 加速長
  • アクチュエータ出力

になるかと思います。というかどんな射出機構でも大体これ。

モータ直動においては基本的にブレーキもモータが担うことになるので、ブレーキがあるだけで加速長が削がれます。 その点、先述のタイミングベルト機構はブレーキを考えなくていいというのがホントに素晴らしい。

アクチュエータ出力はモータ単体の出力です。 モータ直動における射出の威力(\simeq飛距離)は最終速度になります。これはおおよそ加速長×単体出力と正の相関にあると考えていいでしょう。 そのためモータ直動の理想は、「できるだけ出力の高いモータ」×「できるだけ長い機構」となります。

長ければ長いほど加速長もブレーキ長もとれるので良いです。今年の機構は確かストロークが700ぐらいで加速に350ちょっと使ってたはずです。 0から加速して0に減速させるので加速長とブレーキ長はだいたい同じになります。(機構が上向きなので重力加速度を考慮すると加速長の方が少し長くなる)

それでも700の機構は長すぎるのでモータの出力を上げたかったのですが、ブラシレスは開発コストから断念し、モータを3個に増やすという案は実行されましたがその加速度のラックが耐え切れず引きちぎれたのでぽしゃりました。

今年のモータ直動の制御

ここまでは「それはそう」みたいな情報量0の話でしたのでそろそろ自分のやったことを書きます。

ざっくりとした制御ブロック図を以下に示します。

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モータ直動の制御ブロック図

今年の機体の下レイヤの制御は高度なことをせず、ほぼほぼPIDのカスケードで制御が組まれています。正直、現在のロボコン程度であれば相当込み入った機構を作らない限りこれぐらいの制御系で何とか賄えると思います。(でもステアの操舵のレスポンスとかはかなり微妙だったのでこれだけで良いというわけでもない。私は上のレイヤの人におんぶにだっこだっただけ)

MDが二つに分かれているのは単純に電流量の都合です。片方のモータにつき瞬時最大110A流しています。モータに使っているバッテリは6セル/2600mAh/定常35C/瞬時70Cなので瞬時最大は182Aとなります。これではモータ二つは賄えないのでこの機構だけでバッテリも二本です。

このモータを複数使うモータ直動ではラックの損耗が問題視されることが多いのですが、今回は電流を二つのモータで同期させることでトルクを同期させてラックの損耗を防ぎました。実際シーズン中にラックは微塵も欠けることは無かったです。

他の問題としてはMDが分かれていると通信速度で制御周期上限が決まるのでしんどくないか?という人もいましたがそこは特に不自由しませんでした。 MD間の通通信はCAN1Mbpsで行っていました。MD間といっても一方通行ですが。 モータ駆動ののPWM周波数は20kHz/電流PI制御の周波数は10kHz/速度制御PID及び通信の周波数は500Hzで行っていました。

あと小ネタとして、急加速急減速の為にモータのブラシ損耗が激しくて2週間ぐらいのスパンでモータを交換してたりしました。 一応これじゃいかんと思い、多少の対策として電流指示にステップ限界を設けて電流微分値に上限を設けてブラシの損耗を抑える試みなどをしましたが効果のほどは分かりません。何も対策しなかったときに比べて気持ちモータの寿命は延びた気もしなくはないです。

何も考えないで書き始めたのでとりあえず以上です。 来年こそはなんかちゃんとした技術記事でも書きたいですね....(願望) では良いお年を。